エンジニアをやっていると、
突然、
基板上に
アッテネータを組み込む
場面がやってきます。
拙者はそれで、
大いに慌てた経験があります。
そこで今回は、
基板(PCB)上に組む、
アッテネータ回路について。
アッテネータは、信号を減衰させる回路
アッテネータは、
信号を減衰させる
回路です。
何のために、
そんなことをするのか。
その用例と意図を
下記に解説します。
まずは、アッテネータの回路図から
アッテネータの
代表的な回路は、
$\Pi$(パイ)型とT型である。
![アッテネータ_回路図_T_pie](https://hei-shiro.com/wp-content/uploads/2020/05/0d1774bce138f3c537444060c290e893.png)
減衰量:-20dB (1/10)
にしたい場合は、
R1, R2の抵抗値は
例えば、
下記のようになります。
$\Pi$型: R1=61.1 ohm, R2=247 ohm
T型: R1=26 ohm, R2=35.1 ohm
目的1: 入力振幅の上限をクリアするため
電気信号を測定する
ときは、
オシロスコープや
ロジックアナライザなどの
機器に対象の信号を入力
する必要があります。
しかし、
測定機器に入力できる
信号の
電圧もしくは電流値には
上限値があります。
そのため、
入力信号を
減衰させる
回路、
すなわちアッテネータ
が必要となります。
![アッテネータ_用例](https://hei-shiro.com/wp-content/uploads/2020/05/51c78565ca9274679ac3b4e4a3b1bef9.png)
しかし、
アッテネータによって
減衰させた信号の
波形は
アッテネータなしの
場合と
同じになるように
しなければならない。
オシロスコープや
ロジックアナライザの
入力インピーダンスは
一般的に
50ohmである。
そのため、
上述の
T型と$\Pi$型の
アッテネータは、
通常、
後段に50ohmが接続される
前提で、
入力インピーダンスが
50ohmになるように
R1, R2が設定されます。
入力インピーダンスを
あまり気にしない場合、
(とにかくHigh impedance
であれば良い場合など)は、
T型や$\Pi$型ではなく、
単純な
抵抗分割を使用する
こともありますが。
目的2: インピーダンスのミスマッチの影響を軽減
もう一つの
効果として、
アッテネータ後段の
入力インピーダンスが
50ohmからずれていた
としても
アッテネータ前段から
みた
インピーダンスのミスマッチの
影響を抑える効果があります。
そのため、
たとえば、
図3のようにコネクタのところなどで、
インピーダンス不整合が
想定される場合、
その不整合箇所の
出来るだけ近くに
アッテネータを配置し、
インピーダンス不整合を
軽減することが
考えられます。
![アッテネータ_用例2](https://hei-shiro.com/wp-content/uploads/2020/05/518b583042e6dbc2575eac32fbd8b336.png)
不整合箇所のインピーダンスを$\alpha$とします。
下のグラフは、
アッテネータ前段から見た
入力インピーダンスと$\alpha$の関係です。
![アッテネータ_入力インピーダンス](https://hei-shiro.com/wp-content/uploads/2020/05/e7719b33558b45e027dfb1ad68331267-1.png)
横軸を
$\alpha$: 20~80 ohmまで
振ってみましたが、
アッテネータの入力インピーダンスは、
50 ohm± 0.5 ohm
の範囲に
収まっている
事が分かります。
目的3: アッテネータの先からの反射の影響を軽減
High impedanceプローブ
が使用できる場合は、
少し応用的な
用例として、
図5のように
反射の影響を
抑えることが
考えられます。
![アッテネータ_用例3](https://hei-shiro.com/wp-content/uploads/2020/05/873a3a92b0eef0cc54d9245810d5e09f.png)
DUTの信号に
測定系の反射波が
乗ることが予想される
場合は、
アッテネータ回路を基板上に
組むことによって、
反射の影響を
相対的に小さくするのである。
最後に
上記、
ご参考になれば
幸いです。
PCBのCADに
ご興味のある方は、
下記もご参照ください。