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【TDR波形の見方】TDRを基本から解説

TDR_説明図5
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さて、
今日は、
よくある質問の一つ
「TDR」について。

TDRってどんな測定?

TDRは、
オシロスコープを用いて測定する
測定手法の一種で、
「time domain reflectometry」
の略だそうである。
字面だけ見ても
分からないと思うので、
以下、解説します。

TDRは、
オシロスコープに接続した
DUT
(Device Under Test:被測定物)
からの反射波を
測定する手法です。
具体的には、
図1のように、
オシロスコープから
ステップ電圧
(実際はパルス波形)
を入力します。
そして、
図1のMonitor point
に現れる電圧波形を
測定します。

TDR-説明図図1


T: DUT上の終端での反射係数
D: ケーブルとDUTの間の反射係数
$Z_{0}$: DUT上の伝送路の特性インピーダンス

TDRから得られる情報

TDRで分かる
接続先の情報は、
大きく分類して以下の3つ。

  1. 終端の特性
  2. 伝送路の特性インピーダンス
  3. 伝送路上の特性インピーダンスの変化点

終端の特性

DUT上で、
終端部分以外の
反射がない場合は、
終端の反射が
ダイレクトに
測定されますので、
その波形から、
終端の特性を知ることが
できます。

TDR-終端からの反射図2

解放終端の場合は、
$Z_{T}=∞$
となりますので、
反射係数:T=1となり、
測定される反射波の振幅:$a_{0}T$は、
入社波と同じ振幅の$a_{0}$
となります。(つまり全反射)

※ $$反射係数: T=\frac{Z_{T}-Z_{0}}{Z_{T}+Z_{0}}$$

また、
終端がGNDにshortしている
場合、
すなわち、
図3のように
$Z_{T}=0$であれば、
T=-1となり、
マイナスの
全反射が返ってきます。

TDR-説明図-GND終端図3

以上のように、
終端抵抗の情報が、
TDRの波形から得られることは
分かると思います。

DUTの伝送路の特性インピーダンス

それでは、
伝送路の特性インピーダンス
についてはどうでしょうか。

伝送路の特性は、
図4の楕円で示した部分に
現れます。

TDR-説明図-伝送路図4

楕円の部分に
反射波がみえた場合は、
その反射波の振幅$V_{x}$は、
$$V_{x}=\frac{Z_{0}-50}{50+Z_{0}}*a_{0}$$・・・①
となります。

反射がなければ、
$V_{x}=0$なので、
①の式から
$Z_{0}=Z_{D}=50$
であることが
分かります。

※ ケーブルの特性インピーダンスは、
通常50ohmなので、$Z_{D}=50$

そして、
振幅が$a_{0}+V_{x}$となる期間から、
伝送路の長さを
知ることができます。
($V_{x}=0$のときは、
図4の楕円の部分から、
同軸ケーブルの
いわゆる電気長
を引き算します。)

伝送路上のインピーダンス変化点

伝送路上にインピーダンスの
変化点(Viaやコネクタ等)があると、
その都度、
反射波が返ってきます。
その反射波も、
図4の楕円の部分に
現れますので、
これらの情報も
TDRから得ることができます。

TDRの最もポピュラーな使い方は、基板上の配線チェック

以上のような特徴を
利用して、
PCB配線上に断線もしくはショートが
ないか?
といったチェックをするのが、
最もポピュラーな
使い方だと思います。

例えば、
配線上に
断線がある場合、
伝送路上に
インピーダンス: ∞の
箇所が生じますので、
図5のように、
所定の終端からの
反射波の前に、
全反射が返ってきます。

TDR-説明図-断線図5

インピーダンスミスマッチ検出にも有効

TDRは、
DUT(PCB)上の配線の
インピーダンスのミスマッチを
見つけるのにも、
有効です。

高速信号のISIについて、
最も影響のあるのは、
配線上の
インピーダンスのミスマッチです。

PCB上の信号のISIに
悪化が見られた場合
PCB材質の改良に走るのを
よく見かけますが、
PCB材質による誘電損などは、
イコライザで復元可能な
ものです。

信号のISIに悪化が見られる場合、
まずは、
TDRでインピーダンスのミスマッチ
を検出することがとても
有効です。

以上、ご参考になれば幸いです。

ABOUT ME
ヘーシロー。
地方大卒。エンジニア歴20年近いオジ。
最初の職場はブラック。
長年の忍耐を経て、
ブラック脱出を決意。
就職先の影も形もない状況で浪人する。
ブラック脱出後、メーカーや商社で、
自身の英語と技術知識に自信を持つ。
リスクをとっても
ブラックからは脱出すべきと確信。
リスクをとる個人が増えることを願い、
技術記事やキャリア形成、
英語について、
思うところを発信する。
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